イラスト 6月 27 2013描:ほっと一息。-カップベンダーの珈琲- 「お疲れ様」 同僚達の、まさに同情に満ちた挨拶に見送られ,俺はオフィスを後にした。 真っ直ぐ帰る気にもなれず、その足で下のフロアにある自販機コーナー兼休憩室へ立ち寄る事にする。 他人の失態から起きたミスを運悪く全面的にひっかぶる羽目になった… 続きを読む
幻想シリーズ 6月 18 2013menu.36「夏の日」 梅雨の雨はやたらとしつこく、さすがに傘を持たずに家を出たのはまずかったなと後悔した。 仕方が無いので、いつも立ち寄る喫茶店に雨宿りを兼ねて駆け込むことにした。 ここはこぢんまりとした店ではあるが、幻覚や夢を見るような気持ちにさせるメニューが… 続きを読む
幻想シリーズ 5月 15 2013menu.35「moon & sun」 そこには空がある。 蒼穹の空はやがて茜の色に染まり、そして藍の色へとその色を変化させていく。 その不思議な玻璃のグラスには昼と夜を分かつ輝きが星々と共に封じられているのだ。 時の砂は星の瞬きに姿を変え、そこに在(あ)る。 小さな玻璃の天蓋の… 続きを読む
幻想シリーズ 5月 3 2013menu. 43「六華」 「今年の冬は冷えるね。」 そう呟いたのは、彼だったか自分だったか。 ふらりと立ち寄った喫茶店で、少し暖かな物を飲もうと言う話になりドアを開いた。 すらりと背の高い男性が笑顔で出迎えてくれる。 「いらっしゃいませ。外はさぞや寒かったでしょう」… 続きを読む
幻想シリーズ 4月 11 2013番外02「櫻音」 申し訳ありません、お客様。 せっかくおいで頂いたのですが、ワタシめ今から出かけなくてはならないのです。 ええ、もしお時間がございましたら…せっかくですし、ご一緒いたしませんか。 今から行く場所はさほど離れておりませんので、歩いて参りましょう… 続きを読む
幻想シリーズ 4月 3 2013menu.33「春桜」 桜、咲く。 くぐもった鈍色(にびいろ)の空の下、ようやく花開いた桜花は咲き散る。 散り散る…散りゆく花のはかなさよ。 甘やかで優しき花の命、ここに封じて貴方へと捧げましょう。 さぁ、どうぞ 召し上がれ。… 続きを読む
幻想シリーズ 2月 6 2013menu.32「雪の花」 ことさら寒い日は、雪の国「スノウティア」では精霊祭があるのですよ。 凍えるほどに寒い吹雪の中、雪の精霊達が舞い躍ると言います。 精霊達の舞に合わせひらひらと舞う雪の結晶は、さも花のように美しいのだそうです。 その祭が終わりを告げる頃、ようや… 続きを読む
幻想シリーズ 12月 29 2012menu.31「冬の夕暮れ」 お客様、毎日お寒うございますね。最近は雪も積もる程に気温が下がっておりますので、お風邪など召しませぬ様。 さて、今回のお勧めはこちらでございますよ。 春や夏の夕暮れと違い、秋、ことさら晩秋や冬の夕暮れは色濃く鮮やかでございます。 時折混じる… 続きを読む
幻想シリーズ 6月 14 2012menu.29「梅雨の日」 ようこそ、当店へ。 もうこの土地にも雨の精霊達がやってくる季節となりましたね。 じめじめと蒸し暑い毎日ですが…この時期に降る雨こそが恵みの雨となるのですよ。 さて、そんな雨の中に咲く陽気な花のお飲み物など如何でしょうか? 雨だれの音にリズム… 続きを読む